病院管理栄養士が高齢者・患者さん向け宅配弁当を徹底レビュー

高齢者向け宅配弁当のメリットとデメリット

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普段の栄養指導で患者様から感想を聞いたり実際に自分が使ってみて感じるメリットデメリットはつぎの通りです。

メリット

  • 栄養バランスが整う
  • 家事の負担が軽減できる
  • 飲み込む力・噛む力に配慮された「介護食」や病態に応じた「治療食」が手軽に食べられる
  • 一人暮らし高齢者の見守りができる
  • バラエティに富んだメニューを楽しめる

デメリット

  • 味付けが口に合わないことがある
  • 送料などのコストがかかる場合がある
  • 宅配の日時にスケジュールを合わせる必要がある
  • 冷凍庫に弁当を入れる分のスペースがない
  • 自炊よりも食費がかさむ場合がある

以下、詳細です。

目次

メリット

栄養バランスが整う

宅配弁当は管理栄養士により献立が考えられていることが多く、弁当業者をしっかり選択すれば、食べる側が意識しなくても栄養バランスは自然と整います。

コンビニやスーパーでもお弁当は手軽に買えますが、栄養バランスの面で心配な点は多いです。

油ものが多く味付けも濃いため、脂質・塩分が多くなりがち。

反対に野菜はとても少なく、ビタミン、ミネラル、食物繊維は1食の目安量に届かないことが多い気がします。

また、高齢者には特に重要な栄養素であるタンパク質の割合も、弁当1個のカロリーと比較すると少ない傾向にあります。

その点、いろんな食材が使われている宅配弁当は、健康面でも安心できます

家事の負担が軽減できる

ムセやすくなった、硬いものが食べられなくなった、など、嚥下・咀嚼する力が低下するご高齢者は多いです。

また、病院に入院していた方の中には、退院前に医師や栄養士から退院後の食事の注意点を聞き、食事管理に不安を持つ方もいらっしゃると思います。

宅配弁当の中には、やわらか食、嚥下訓練食、塩分制限やカロリー制限などの治療食に対応しているものも多いです

栄養士によって管理された食事が自宅でも手軽に食べられるので、ご本人はもちろん、そのご家族、介護者も安心できると同時に調理の負担軽減につながります。

ほく

やわらかさや制限に配慮したお弁当は、「冷凍」タイプのお弁当に多い傾向があります。

飲み込む力・噛む力に配慮された「介護食」や病態に応じた「治療食」が手軽に食べられる

調理するって、実はかなりの労力を使っているってご存じですか

調理~調理前後の工程

献立を考える→冷蔵庫の中身を把握しスーパーに買い物にいく→予算を考え食材を購入する→調理する→洗い物する

高齢者だけの暮らしや、介護が必要なご家庭ではその負担は結構なものと思われます。

宅配弁当は週1回からでも利用できるので、週に数回活用すればこれらの手間が省け、家族と一緒に過ごす、自分の趣味にあてる、など時間の有効活用ができます。

ほく

実際に私も産後から週3回の配食弁当を利用していました。
最初こそ「楽してしまって良いのだろうか」と抵抗はありましたが、(〇曜日は時間ができるぞ!)と思うと心の余裕ができ、たまに他の日に料理することも苦じゃなくなりました。

自分を甘やかすことも大切。時は金なり。タイムイズマネーです。

外来での栄養相談でご高齢者から生活状況について話を伺うと、

昔は料理がんばったけどね。子どもも出て行ったから、自分の分だけ(あるいは夫婦二人だけ)作るのが面倒。手抜きになってしまう。

わたしも働いているので、父(あるいは母)のために介護食を別で作るのが大変。

といった声、よく聞きます。

そんな方にこそ、宅配弁当をぜひ検討して頂きたい。

一人暮らし高齢者の見守りができる

宅配弁当は手渡しを基本としている業者も多いです。

直接受け取れなかった場合は冷蔵ボックスに入れることもありますが、お弁当が減っているかどうか、配送スタッフが確認できます。

ワタミのように、一人暮らし高齢者の安全を見守る「みまもりサービス」を展開している業者もあるほど。

「ひとり暮らししている親が心配。何かあったらと思うと不安です」というご家族の方も安心です♪

バラエティに富んだメニューが楽しめる

宅配弁当は、定期便で毎日食べてもらうような利用方法を想定して、和洋中のさまざまなメニューが用意されています。

家庭で作るには大変な手の込んだ料を味わえるのも、宅配弁当の楽しみのひとつ。

色々な料理がバランスよく組み合わされています。

色々な種類のお弁当があるので、自分にあった量、味の濃さを選べます。

デメリット

味付けが口に合わないことがある

普段栄養相談をしている患者様で、配食弁当の利用を中止した方のお話を伺うと、大体「食べ慣れない味付けだった。好まなかった」「食感が悪かった」このような声が聞かれます。

冷凍・冷蔵かによってもだいぶ味、食感が変わるので、1社で諦めず、お試しコースがある業者を色々お試してみると良いと思います。

送料などのコストがかかる場合がある

宅配弁当には、「冷凍」・「冷蔵」・「常温」と選べますが、冷凍弁当を選択した場合のデメリットのひとつに配送コストがあります。

冷凍弁当の場合、クール便で発送されるため、1回の配達に送料がかかることが多いのです。

反対に、毎日配達してもらえる冷蔵・常温弁当では、弁当代に配送料が含まれていることもあり、なんだかお得感を感じます。

宅配の日時にスケジュールを合わせる必要がある

週1回まとめて届く冷凍弁当の場合は、商品を受け取るためにスケジュールを管理しておく必要があります。

毎日配達の場合は、冷蔵BOXに入れておいてもらえることも多いのでその心配は不要です。

冷凍庫に弁当を入れる分のスペースがない

これも「冷凍」に限ったことですが、冷凍庫がパンパンに…!

冷凍のお弁当は、賞味期限が長く、いつでも食べられるという良さがありますが、購入前に事前にお弁当のサイズと冷凍庫の空き状況を考えておく必要があります

業者の中には冷凍庫を無料で貸し出ししているところもありますので、そこを選ぶのもひとつです!

自炊よりも食費がかさむ場合がある

宅配弁当の価格は1食あたりおよそ450円~。

それまで頑張って毎日手作りしていたり、家庭菜園の食材を利用していたり、あるもので済ませたりしていた方にとっては、もしかすると1食あたりの値段は高くなるかも。

私としては、配食弁当を利用してみて、

  • 栄養バランスが整った
  • スーパーへ行く頻度が減り、余計なものを買わなくなった
  • 時間を有効に使えるようになった

ことが起こり、総合的にみると配食弁当サービスは決して高くない買い物だと思いますが、継続利用できる価格帯か確認する必要があります。

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この記事を書いた人

アラサー2児の母。病院の管理栄養士。

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